マンモグラフィ診断
●診断
・良性:3名
カテゴリー3:2名
Fibrous disease疑い:1名
・悪性疑い:4名
カテゴリー:4名
・悪性:14名
乳頭腺管癌 3名
乳頭腺管癌>硬癌 1名
充実腺管癌 2名
硬癌 1名
硬癌>乳頭腺管癌 3名
非浸潤性乳管癌 1名
充実腺管癌>葉状腫瘍 1名
カテゴリー5 2名
・診断名なし:2名
●massについて
・massあり:23名
・massなし:0名
●石灰化について
・石灰化あり(悪性):5名
・石灰化なし:17名
・石灰化不明:1名
MMGでは、多くの先生が乳癌と診断し、12名の先生は組織型推定をしていました。
良性とされた先生は、既往歴の外傷と糖尿病に、引っ張られてしまったようでした。
今回最も多く所見を書いてくださった先生のコメントを一部紹介しましょう。”撮影は適正にポジショニングされ乳腺は脂肪性です.左外上に微細石灰化をともなう多角形(polygonal)〜不整形(irregular),辺縁境界明瞭だが不整な高濃度のmassです.カテゴリー5が型どおりの言い方になりますが素直に読むと左外上に辺縁不整で中に石灰化を伴う浸潤癌を考える所見です.MMGのみならCa(a1)、MMG+病歴からFibrous
Disease>Ca(a1)。”
超音波診断
・良性:6名
膿瘍、外傷性脂肪壊死、血腫、葉状腫瘍、嚢胞内乳頭腫、線維腺腫、など
・悪性:13名
乳頭腺管癌 4名
乳頭腺管癌>充実腺管癌 2名
乳頭腺管癌>硬癌 1名
充実腺管癌 3名
充実腺管癌>乳頭腺管癌 1名
非浸潤性乳管癌 1名
ICCa 1名
・診断名なし:4名
超音波診断でもやはり既往歴の影響があったようです。また、不整形低エコー腫瘤でありながら、境界が明瞭であったために、様々な診断が挙がってしまったように思われました。膿瘍でもときおりこのような所見を呈するものをみることがあり、良性と
いう診断もわかる気がします。
MRI
・悪性:17名
・良性:0名
・判別困難:2名
・見えない:1名
・良悪性のコメントなし:3名
大多数の方が悪性と診断され、その根拠としてdynamic curveを用いた方が11名でした。画像上のring enhancemenntから悪性と判断された方は1人でした。
推定組織型を記載している方は少なく、乳頭腺管癌、充実腺管癌、硬癌それぞれ1名づつでしたが、乳管内進展を伴っているとされた方が8人いらしゃいました。
良性と診断されている方はいませんでしたが、判別困難とされた方は膿瘍、嚢胞内腫瘍、葉状腫瘍を鑑別にあげていました。
細胞診
・悪性(乳癌):16名
・良性:3名
・判別困難:0名
・見えない:0名
・良悪性のコメントなし:2名
悪性と診断された方の推定組織型は、乳頭腺管癌が10名、充実腺管癌が1名、乳頭腺管癌>硬癌が2名、乳頭腺管癌または充実腺管癌とされた方が1名でした。悪性と診断された根拠として、1枚目の写真では壊死性背景、結合性の低下、2枚目の写真では二相性の欠如、細胞の重積、細胞集塊における乳頭状構造様所見を挙げられていました。
良性とされた方の推定組織型は乳腺症(adenosis-papillomatosis)が1名、葉状腫瘍が1名でした。
もう少し拡大した写真を見たいという意見が2名いらしゃいました。早々に改善を図りたいと思います。
総合診断
・乳癌:18名
乳頭腺管癌:9名(うち2名は亜型推定あり:papillary type)
乳頭腺管癌>充実腺管癌:2名
乳頭腺管癌>硬癌:1名
充実腺管癌>乳頭腺管癌:4名
硬癌>乳頭腺管癌:1名
嚢胞内乳癌:1名
・良性:5名
糖尿病性乳腺症:2名
嚢胞内乳頭腫:2名
葉状腫瘍:1名
今回は既往歴に引っ張られてしまった先生が多いようでした。しかし大半の先生は、各検査所見より正解を導き出せておりました。MRIでは、良性と判断した先生はひとりもおりませんでしたが、総合診断としては良性とされた先生がおりました。これはMRIの見方になれていないことも一つの原因かと思われました。聖路加国際病院の中村先生のコメントを参考にしていただきたいと思います。
治療方針
乳癌と診断した先生18名の治療方針
・乳房温存術:7名(うち2名は組織診断確定の後)
・乳房切除術:8名(うち1名が組織診断確定の後)
・コメントなし:3名
良性と診断した先生5名の治療方針
・試験切除:4名
・コメントなし:1名
治療方針については、ほとんどの先生方が術式のみのコメントであり(おひとりのみ温存術後乳房照射付加)、放射線療法・化学療法・内分泌療法、あるいは乳房再建等についての内容はありませんでした。できれば次症例以降は、術前治療や術後の補助療法などについても意見を述べていただけるようお願いいたします。
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